色々な意味で話題沸騰

当時は格安だった

クラウンにしてもセドリックにしても、その志向性はどちらかと言えば高級感が強いのが否めない。欲しくて購入したくても、現実的な問題で購入できる人というのはそこまで多くはなかっただろう。人気こそ沸騰したが、懐事情と相談した上ではクラウンやセドリックの購入は少しばかり難しいと考えた人はそれ以外で開発・生産されたモデルの購入を検討しなければならない。ですが、開発されたばかりの頃よりはまだ自動車を利用している人も特別少なくはなかったが、それでも贅沢品が欲しいと考えた人もいるはず。

では自動車生産が日本でも普及し始めた時代には、日本で一般大衆向けと言わんばかりに人気を博した自動車は存在している、それはホンダが開発した『N360』と呼ばれるものだ。当時としてはそれなりに珍しい軽自動車として売りだされていたが、これが登場した際には一般の人々が買い求めるために殺到した程の人気を博す。何が一番人気を呼ぶ要因だったのかというと、それこそ実入り的な問題でもある『価格』の問題だ。

この頃自動車の価格は当時『35~45万円』が軽自動車の相場だったが、N360はそれを下回る値段となる『30万円』前半で取引されていたというのです。大まかに計算して、現在でいうところの『500万円』相当に当たりますが、この値段は現在のクラウンの最新モデルにも相当する値段となっている。それだけ半世紀前は自動車は日常生活の中では贅沢品の1つとして見なされていた証拠だ。軽自動車がその値段で取引されていたという点も考えると、今と昔の違いには相変わらず驚かされるばかりだ。

昔人気があった車

爆発的な人気の獲得

ホンダとしても満を持して発売されたN360の展開だが、発売されてからなんと2年足らずで25万代を売り上げるなど好調なスタートダッシュを着ることに成功する。それまでは富士重工業の『スバル・360』が軽自動車の中でも定番とされていたが、値段と同じく高性能ということもあって一般大衆からの圧倒的な人気を獲得し、軽自動車月間販売台数ランキングにおいては数ヶ月でトップの座を奪取するまでに至ったという。

何が凄いのかというと、小柄なボディからは考えられないほどのハイパワーぶりが他社の軽自動車にはない特徴を作り出した。それによって今までにない程の運転効率の良さによって、多くの人の心を捉えることに成功したが、ホンダN360の栄光は長くは続かなかったのです。

欠陥車の烙印

その頃、アメリカではある社会問題が噴出していた、それは『欠陥車』の存在だ。人命を奪うほどの大事故を引き起こしかねない問題として、メーカー側の不適際を暴こうとする動きが社会的に強かったことも影響してか、それは日本にも飛び火する。そして矢面に立たされたのが、N360だ。この自動車には操作面における安定性が欠如していると指摘されてしまい、またこのモデルを創りだしたことによって殺人未遂の疑いが掛けられるなど経営陣の責任問題にまで発展する事態となる。中でも創業者が起訴され、さらには国会においてもデータとしてこれだけの人が、技術的な意味合いで不十分だったとする指摘が出るなど、まさに叩かれ続けたのです。

その結果、人気は滑落してしまい、登場してから数年程度で販売終了似にまで追い込まれてしまった。その後波瀾万丈な展開こそあったものの、失った信用を取り戻すために様々なモデルを発表したが、信用が回復するまでに到達すること無く、一時軽自動車の分野から撤退を余儀なくされてしまう。

こうした事件が影響して、各社が恐れる『欠陥車の烙印』を押されないようにするという風潮が出来上がったのかもしれない。その後、自動車の技術レベルが格段に上がったのも、問題を防ぐためにスキルアップを優先させた、ということなのかもしれない。

あこがれのクラシックカー

ある意味では役立った

一般大衆向けに作られたN360だったが、そのあまりの馬力が操作する人間の生死を左右する程危険なものだったため、商品としての価値は非常に短命だった。ただホンダとしても、N360がもたらした影響は大きく、その後のホンダとしての歩き方を決定づけるものにもなっていった。事実、軽自動車として人気を獲得したことによって業績拡大をすることに成功している。

しかし殺人未遂の疑いで起訴されたことなどを含めて、その後生産された自動車には創業者が取り込みたかったという、エキセントリックとも揶揄される高性能空冷エンジンを抑えて、まろやか路線とも呼ばれる水冷方式へと転換して普遍性のある設計へと移行していったのです。

元々N360をオートバイのようなピーキーなエンジンにすることによって新しい改革を求めたとも言われているが、少しばかり蛮勇が過ぎたようだとも冷静に語る人もいる。死者が出ている時点でそういう問題でもないと思うのだが、そういうことにしておきたいらしい。ある意味旧車の中でも歴史的にその名を広めたモノとして語ることはできるが、今の時代リスクを背負って生きるよりも堅実に、安心して生活する方を選ぶ人が多いことを考えたら、博打みたいなことはしたくはない。古いからいいというものでもない、その中でもきちんと品質面を重視した旧車に乗りたいものですね。

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